先延ばし癖がやめられない理由と改善するための3つのステップ


 
夏休みの宿題や余裕を持って締め切りが設けられた課題など、ぎりぎりになるまで手がつけられないという経験ってありませんか?それこそ、夏休みなら3日前からほぼ毎日徹夜で。
 
ただ、なぜか大抵の場合間に合ってしまいます。そして、人間とは自分にとって都合のいいことは記憶に残りやすく、「前回は1日前からはじめて間に合ったから今回も大丈夫かな」と、そろそろ始めないと本当に間に合わなくなるぞというタイミングまで先延ばしをしてしまう。
 
ただここで、思いもよらない予定が入ってしまいスケジュールがくるう。すると、「ああ、今回はさすがに間に合わないな。だけど、周囲からの信用を落とすのも怒られるのもいやだ。」と思って手を止めることはできない。
 
すると、締め切りの1時間くらい前になるとなんとか形になっていた。もちろん見直しなどはしていないし、あと1時間でブラッシュアップできるほどの体力は残っていない。

そして、この時に思うのは「今回は本当に危なかったし、リアルに死ぬかと思った。次は、もっと早くから準備をしよう」と。

そうして一息ついていると、3週間後に社内でテストをするから準備をしっかりしておくようにと言われた。長期休暇を挟むこともあり出された課題は相当なボリュームとなっていた。

すると、数日前の苦い記憶があったので、「今回は一週間毎に目標を決めて実行していこう」と万全な計画を立てた。

そして、いざやろうとすると携帯の画面に友達からのLineの通知が。

「まだ昼間だから、とりあえず返信してから取り組むことにしよう。」

ただ、そこから怒涛のネットサーフィンをしてしまい、気づくと3時間が経っていた。さすがに、これはまずいとなるもまだ締め切りまで3週間近くあるから、「明日から本気を出せばいいか」と自分を正当化する。

そして、本気が発揮されるのは課題テストの一週間前。

などという奇跡が起きるはずもなく、気づくと2日前。圧倒的な準備不足なため、もちろん結果は、、、

とこのように多くの人がしてしまう先延ばし。ただ、できることならしたくないと思っている先延ばし。

ではなぜ、人は先延ばしをしてしまうのでしょうか。

そこで今回は、先延ばしをしてしまう原因を心理学的に説明し、その後に先延ばしをしないための具体的方法について3つのステップに沿って紹介いたします。



先延ばしはなぜ起きるのか?

 

 
先延ばしをしている時って、常に頭の片隅でやらなきゃと思いながらも重い腰の上がらない自分がいますよね。

そして、先延ばしをしてしまう自分自身が心底嫌になり、そんなあなたを見て周囲は「だらしないなあ。またか。」と思うでしょう。

では、誰も得をしない先延ばしはなぜ起きるのでしょうか?

この先延ばしの原因について、Tedトークにて2012年にヴィク・ニフィー氏が、2016年にティム・アーバン氏が講演を行いました。

そこで、この2名のスピーチの内容を基に先延ばしが起きる原因について考えてみました。

先延ばしが起きるのは、ヴィク・ニフィー氏とティム・アーバン氏の両名は脳の構造が原因だと言っています。

人間の脳は、内側から爬虫類の脳、旧哺乳類の脳、新哺乳類の脳の大きく3つに分かれており、それぞれの脳には以下のような特徴があります。
 

 
①爬虫類の脳「生きるための脳」
一言でいうと本能を司っています。呼吸や心臓を動かすといった生理現象から欲望や性欲、恐怖と対面した時にどのように生き延びるかといったことに反応します。

②旧哺乳類の脳「感じる脳」
好き・嫌いや快・不快などの感情や最近では広く知られている記憶や認知に関係する海馬などの機能があります。

③新哺乳類の脳「人間脳」
哺乳類の中でもとりわけ発達をしているこの哺乳類の脳は、人間脳とも言われます。言語の理解や得た情報からこれから先に何が起きそうなのかなどの高度な判断を行っています。

 

とかげなどの爬虫類の頭を撫でても表情に変化はありませんが、犬や猫の頭やお腹をさすると気持ち良さそうな反応を見せます。

これは、旧哺乳類の脳は好き・嫌いや快・不快を感じることができるためです。

では、普段我々はどのように意思決定をしているのでしょうか?

通常、我々が何かの意思決定をするときは新哺乳類の脳→旧哺乳類の脳→爬虫類の脳の順に働くと思われています。

ただ、多くの場合には爬虫類の脳が圧倒的に強く、次に旧哺乳類の脳、新哺乳類の脳と続きます。

例えば、喫煙者が将来くる死の危険を知っていたとしてもその一瞬一瞬の自身の欲求を満たすためにタバコを買い続けるのが典型的な例です。

このとき、新哺乳類の脳は論理的にタバコを吸わない方がいい理由について説明をします。

ただ、旧哺乳類の脳や爬虫類の脳の方が強いのでタバコをやめることはできず買い続けてしまうのです。

それでは、先延ばしが起きる原因について詳しく見ていきましょう。

先ほども少し触れましたが、先延ばしが起き原因を語る上で脳にある3つの機能を理解しておく必要があります。

 

 
・前頭前皮質(新哺乳類の脳)

・大脳辺縁系(旧哺乳類の脳)

・扁桃体(旧哺乳類の脳)

 

理性的な判断をする前頭前皮質と甘い誘惑をしてくる大脳辺縁系、恐怖に敏感な扁桃体。

また、アーモンド型をしている扁桃体は大脳辺縁系の一部です。

2週間後に重大な会議があり、今から準備をはじめて周囲に根回しもしないと間に合わないというときに、

理性的な判断をする前頭前皮質は「やらないと大変なことになるから今日から着実にやっていこう」と語りかけてきます。

ただ、ラクで楽しいことが好きな大脳辺縁系は「なんとかなるさ!まだまだ大丈夫だからとりあえず他のラクなことでもしよう」と甘い言葉をかけてきます。

そして偏桃体は快・不快を判断していて、先ほどのタバコの例にもあるようにほとんどの場合は決断や行動を先延ばしにしてしまいます。

なぜなら、先ほども述べた通り下位の機能である爬虫類や旧哺乳類の脳の方が新哺乳類の脳より圧倒的に強いからで、達成したい目標や目的がなければ大抵の場合はしんどいことではなく楽で簡単な方に流れてしまうためです。

なので、ほとんどの場合は脳の中にある操縦席を甘い誘惑をかけてくる大脳辺縁系に取られてしまいます。

この甘い誘惑を仕掛けてくる対象についてティム・アーバン氏は「すぐにご褒美を欲しがるモンキー」という言い方をしています。

このおさるさんは、今の瞬間だけを生きていて過去の経験や未来に対する展望もなく、興味があることはラクで楽しいこと(Easy & Fun)だけなのです。

こうして、やらなければいけないがラクではないタスクをどんどん後回しにしていると気づいたら会議で発表する3日前に。

依然としておさるさんに操縦は握られているままです。

ただ、ここで快・不快を司る扁桃体が反応します。

何に対してかというと、

もし会議の当日に間に合わなかったら上司から怒られるのはもちろん、周囲からの信頼や評価を著しく落としてしまうという恐怖です。

この恐怖は、我々の心肺機能に大きな影響を与え、不安な気持ちにさせます。

こうして、あと3日でやり遂げなければ迎えてしまう恐怖のシナリオに扁桃体が危険信号を発します。

この危険信号はおさるさんの唯一恐れるもので、操縦席から離れれずにはいられません。

こうやってなんとか理性的な判断のできる人間脳に主導権が移りました。

そして、目標が達成できなかった時の恐怖を過去の経験から思い出したり将来の自分の立ち位置を保つために必死になって間に合わせようとするのです。

ただ、大抵の場合は見直す時間が十分に取れないので質が低くなりがちで、評価は下がり自己肯定感は低くなってしまいます。

では、我々が先延ばししたくなるのはどういったタスクなのでしょうか?



先延ばしをしたくなるタスクの特徴

我々が先延ばしをしたくなるタスクを大きく3つに分けて紹介します。

苦手なことや嫌いなこと

まずは、苦手意識のあることや嫌いなことは仕事であったとしても期限が近づいていなければラクで得意なことに取りかかってしまうものです。

ただ、苦手なことや嫌いなことは終わるめどが立ちにくいのと実行中のスピードも遅いので早くから取り掛からないといけないものですので対策を打たなければ残念な結果になることは容易に想像できます。

あいまいで体系化されていないこと

こちらは、取り組もうとするタスクに対してどこから手をつけていいのか分からない状態です。

ある程度体系化されていればその通りに行えばできるものなのですが、経験が浅かったり社内で情報共有がしっかりとされていない場合には方法から考えなくてはいけないので大きなストレスとなります。

こちらも本来であれば早め早めに対策を打つべきなのですがラクで楽しいことにしか目がないおさるさんに操縦席を握られてしまうと取りかかることは容易ではありません。

個人的な意義が見出せないこと

最後にあげるのは、取り組んでいる仕事に対して個人的な意義が見出せない状態です。

すべての仕事にとは言えませんが、自分のキャリアのプランが明確になっていれば一つ一つのタスクに対して自分なりの意義を見出すことができます。

しかし、自分の中での意義付けが全然できていない状態で取り組むとプロセス自体を楽しむことはもちろんできませんし、とても退屈なものとなってしまいます。

なので、自分は将来どんなことがしたいのか?どんなことに意義を見出せるのかをじっくりと考えましょう。

先延ばしを防ぐ3つのステップ

ここまでで、先延ばしをしてしまいたくなるタスクの特徴や我々が先延ばしをするのは脳の構造が原因になっているとお話をしてきましたがいかがでしたでしょうか?

ただ、この先延ばしというのは多くの方が悩まれているかと思います。また、直そうとして実際に何かを試した方もいるかもしれません。

そこで、具体的に先延ばしを防ぐ方法について現状把握、マインドセット、行動に移しやすくするコツの3ステップで書いていきたいと思います。

ただ、行動編も入れると予想以上の分量になりましたので行動編は後編とします。(出来次第投稿しますので少々お待ちください)