人間力とは?人間力が高い人に見られる特徴と磨く上で効果的な3つのこと


 
ここ10年ほどの間で急激に、”〇〇力”という言葉が流行っていますよね。

”共感力”に”傾聴力”、それから特に”女子力”という言葉もよく話題に上がると思います。

でも、”人間力”という言葉については、「あんまり聞き慣れないな」という方も多いのではないでしょうか。

しかし実は人間力は、他の〇〇力という言葉が流行る前の2003年には、すでに内閣府でも正式に定義され使われていた言葉なのです。

今回は、この”人間力”をテーマに、人間力の定義と人間力が高い人の特徴、そして人間力を養う方法について、ご紹介していきます。



人間力とは

まずは人間力について、内閣府の定義を見ていきましょう。

内閣府の2003年4月「人間力戦略研究会報告書」では、人間力は「社会を構成し運営するとともに、自律した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と書かれています。

さらに具体的な構成要素として「知的能力的要素」「社会・対人関係力的要素」「自己制御的要素」の3つが挙げられており、それぞれについての内閣府の説明をまとめると以下のようになります。

①知的能力的要素
主に学校教育を通じて修得される基礎的な知的能力である「基礎学力」。情報を論理的に体系立てて処理する「論理的思考力」、そして「専門的な知識・ノウハウ」、「創造力」の4つから成る、知的能力的要素。

②社会・対人関係力的要素
異なる立場の人を尊重しつつ、自分の意思も適切に伝えることで理解をしあう「コミュニケーションスキル」や、自分が判断・行動するときに基準とする「規範意識」、そして「リーダーシップ」、「公共心」、「 他者を尊重し切磋琢磨しな がらお互いを高め合う力 」の5つから成る、社会・対人関係力的要素。

③自己制御的要素
そして①や②の要素を十分に発揮するための「意欲」や「忍耐力」、「自分らしい生き方や成功を 追求する力」の3つから成る、自己制御的要素。

少し硬い表現もあるのでより嚙み砕いてお伝えすると、人間力とは、

周囲の人と関わりながら(社会・対人関係力的要素)、自身の能力を磨き(知的能力的要素)、自律的に・目標を持って前へ進んでいく(自己制御的要素)ための総合的な力

のことだとイメージいただければと思います。



人間力が高い人の特徴

とはいえ、具体的に人間力の高い人がどんな人なのか、まだイメージできていない方も多いと思いますので、次は「人間力が高い人の特徴」について見ていきましょう。

あなたの周りで人から愛される魅力を持っている人、なんとなく人徳があるなと思わせる人を想像しながら読んでいただくと、当てはまるものも多いのではないかと思います。

柔軟な思考を持っている

人間力が高い人の特徴の1つ目は、”柔軟な思考を持っている”です。

柔軟な思考を持っているというのは、自分の考えが正しいと決めつけたり思い込みで行動したりしないこと、人から指摘されたら素直に受け入れて直せることです。

こういった人は周りのアドバイスをどんどん吸収できるので成長速度も速いですし、たとえ役職が上がっても風通しのよい環境を作ることができますよね。

このように、どれだけ歳を重ねても柔軟な思考ができることは、人間力の大きな要素と言えるでしょう。

善悪の判断基準を持っている

人間力が高い人の特徴の2つ目は、”善悪の基準を持っている”です。

どれだけ優しい人に見えても、モラルのない行動をしてしまう人、たとえば当たり前に道端にゴミを捨てる人や、平気で約束を破ったり保身のためのその場しのぎの嘘をついたりする人は、人間力が高いとは言えないですよね。

だからこそ、社会的な善悪の判断基準を自分の行動の基準として持てていることは、人間力が高い人の前提条件となってきます。

居心地の良い空気感をつくるのがうまい

人間力が高い人の特徴の3つ目は、”居心地の良い空気感をつくるのがうまい”です。

あなたの周りにも「この人といると変に気を張らず、自然体でいられるな」と思わせてくれる人がいませんか?

そういった人は、他者の考え方を否定せず尊重するコミュニケーションを心掛けているからこそ、「この人にならそのままで自然体の自分も受け入れてもらえる」と相手に思わせることができるのだと思います。

こんなふうに、安心感・居心地の良さを周りに提供できる人には、人間力の高さを感じる人も多いのではないでしょうか。

自分の感情に振り回されない

人間力が高い人の特徴の4つ目は、”自分の感情に振り回されない”です。

大人になっても子どものように自分の感情をあらわにしたり、自分の気分や好き嫌いで態度を変えたりして、周りを困らせてしまう人は一定数いますよね。

職場など同じコミュニティにそんな人がいると場の空気も悪くなりますし、「その人に気に入られないと案が通らないから、新規性のある案よりもその人に刺さる案を考えよう」という人が増えてしまうなど、その会社全体に悪影響を及ぼすことさえあります。

これに対して、どんな時でもフラットに判断でき自分の感情をコントロールできている人というのは、周りの人からしてもコミュニケーションをとりやすいですし、「人間が出来ている」という評価を受けやすいと言えます。

確固たる自信がある

人間力が高い人の特徴の最後は、”確固たる自信がある”です。

自分に自信がない人は、「人と比べて自分のほうが優れているかどうか」で自分の価値を確認しようとするため、自分がなんとか優位に立とうとして、周りの人を攻撃したり見下したりしようとしてしまうことが多いです。

一方で、自分に自信を持てている人は人と比べずとも自分を肯定できているため、人に対して寛容で、尊敬の気持ちも素直に表現することができます。

もちろん、自信を持っている=人間力が高い、ということではありませんが、謙虚さは兼ね備えつつも一定の自己肯定感がある人は、人間力が高いと言えるでしょう。

以上が、人間力の高い人の5つの特徴でした。

それぞれを、冒頭でお話しした「人間力の3要素」に分類すると、

1つ目の”柔軟な思考を持っている”は、「知的能力的要素」

2つ目の”善悪の基準を持っている”、3つ目の”居心地の良い空気感をつくるのがうまい”は、「社会・対人関係力的要素」

そして、4つ目の”自分の感情に振り回されない”、最後の”確固たる自信がある”は、「自己制御的要素」

にそれぞれ分けられます。

このように、各要素がバランスよく揃っていて総合力の高い人は、人間力が高い人だと周りから思われるのも納得です。

人間力を磨くには

最後に、人間力を磨くにはどうしたら良いのかについてお話ししていきます。

今回は、特に「社会・対人関係力的要素」と「自己制御的要素」を伸ばすために必要な、3つの方法をピックアップしています。順にご覧ください。

自分に至らない部分がないか省みる

人間力を磨くための方法の1つ目は、”自分に至らない部分がないか省みる”です。

この力は、たとえば人間関係がうまくいっていない時に、他人を責めるのではなくまず「自分には非がなかったか?」を考えたり、仕事でトラブルがあった時に「自分の行動によって事前に防ぐことはできなかったか?」「今後はどうしたら防げるか?」を考えたりする中で培うことができます。

世間的には”自責思考”と呼ばれるものに近いかもしれませんね。

とはいえ、最初から自分の悪いところを認めることはとても難しいですし、どうしても自分に甘くなってしまうこともあるので、第3者に意見をもらうなど他者の助けを借りるのも1つの手です。

身近な人から見て、自分の振る舞いがどう映っているかについてフラットな意見をもらい、真摯に受け止めて良くないところを改善しようとすること。

この積み重ねが、人のアドバイスを柔軟に受け入れる力や内省する力につながっていくでしょう。

相手が求めることは何かを考える

人間力を磨くための方法の2つ目は、”相手が求めることは何かを考える”です。

これは、「自分の視点に囚われすぎず、相手の立場に立って考えられるようにする」ということです。

相手が辛そうな時・しんどそうな時に、どうしたらそれを和らげることができるか、どんな言葉をかけると相手の気持ちが楽になるかを考えて実行をしてみる。

人にプレゼントをあげる時には、日ごろの会話やその人の持ち物からその人の一番喜ぶものを読み取って、贈ってみる。

こういった日ごろの心掛けによって、相手が求めるものを読み取る力は徐々についていきます。

言葉では「大丈夫」と言いつつ無理をしている人も多いので、相手の言葉だけでなく表情や話し方にも注意を払い、相手の状況や感情を想像するようにしてみてくださいね。

これができるようになると、周りの人からも「この人は上辺だけでなく、親身になってコミュニケーションをとってくれる」と信頼してもらえるようになり、人間力は着実に高まるはずです。

成功体験を積み重ねる

人間力を磨くための方法の最後は、”成功体験を積み重ねる”です。

これは、自分に自信を持てるようになるために一番有効だと言える手段です。

「そうは言っても仕事がなかなか上手くいかず、成功体験を積みたくてもできない…」という人は、仕事に囚われずに他の分野で成功体験を積めないか考えてみてください。

仕事から離れて、本当に興味のあることを趣味や副業で始めてみると、自分の好きなことなのでどんどん勉強する気になりますし、成果にも各段に繋がりやすくなります。

その結果、「これまでは、自分の強みを発揮できる環境や対象を見つけられていなかっただけだったんだ!」と気づくことができれば、仕事で失ってしまった自信を取り戻せるはずですよ。

さらに一度何かで成功体験を積むことができると、その成功パターンをそれまで苦戦していた仕事の方にも転用することができ、仕事も上手くいき始めるという好循環に入っていくことも期待できます。

ただし、ここで注意が必要なことが1つあります。

それは、「自分が成果を出せていることや成長していることに気づけないと、どれだけ頑張ってもそれを成功体験として捉えられず自信には繋げられない」ということです。

そこで、きちんと自分の成功(成果・成長)を自覚するために、

・明確に目標とマイルストーンを設定すること
・定期的(毎日、もしくは毎週XX曜日、など)に成長日記をつけること

の2つを実践することがおすすめです。

たとえば筋トレであれば、最初に目標体重・期間を設定し、そこから逆算して「1か月後までに3キロ減、2か月後までに5キロ減…」などマイルストーンを設定する。

そのうえで、毎日の体脂肪率と体重・見た目の写真を撮っておくなどして記録するというイメージです。

このように、自分の成長を可視化すると成果を出している実感が湧きますし、マイルストーンをクリアする度に「自分もやればできるんだ」という自信につながりやすくなります。

ぜひこの2つのポイントを抑えて自分の成果・成長を実感できる仕組みを作り、自分の自信を引き出していってくださいね。

おわりに

今回は、”人間力”についてお話ししましたがいかがだったでしょうか。

周囲の人と関わりながら(社会・対人関係力的要素)、自身の能力を磨き(知的能力的要素)、自律的に・目標を持って前へ進んでいく(自己制御的要素)

人間力のこの3要素の中で自分に伸びしろのある部分がないか、それはどうすれば伸ばせるかを考えるきっかけとして、この記事をお使いいただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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