美意識が成功する上で大切な4つの理由!山口周氏が語る美意識とは?


 
ビジネスマンの間で、「美意識」を鍛えようという人が増えてきています。

そして、山口周さんの著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』でも主張されており、美意識はビジネスの場においても重要なスキルだと思われます。

ただ、まだまだビジネスマンが美意識を鍛えることにメリットを理解できていない方が大半かと思います。

そこで今回の記事では

・そもそも美意識とはなんなのか

・なぜ 美意識がビジネスの現場で注目されるようになったのか

・どうしたら 美意識を身につけ、鍛える事が出来るのか

について書きました。

また、本記事を書くに当たって山口周さんの著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』から、多くのアイデアや考えを参考に致しましたのでここに記しておきます。

では、今回のテーマの美意識についてまずは見ていきましょう



美意識とは?

そもそも「美意識」とはなんなのでしょうか。

山口周さんは、『物事の判断を、理性だけでは無く「快・不快」といった感性を用い、自分の中での明確な判断基準を持って意思決定を行う事』と主張しています。

では、具体的に

・「快・不快」といった感性

・自分の中での明確な判断基準

とはどういった事なのでしょうか。

まず、「快・不快」の「快」とは「自分がワクワクするか、美しいと思うか」、「不快」とは、「違和感を感じるか」です。これらの感性を意識する事がまず大切です。

そして、「明確な判断基準」とは「自分なりの倫理観に基づいた行動指針」をさし、「自分の中で正しいことは何かが言語化されている状態」がこれに当たります。

また、IGPIの塩野誠さんもビジネスマンにとって「ハングリーかつノーブルである事」の重要性を主張していて、ここでいう「ノーブル(=高貴さ)」を持つ事は「自分なりの倫理観」を持つ事と共通している部分が多いと言えます。

美意識がビジネスの現場で注目されるようになった背景

それでは、どうして「美意識」がビジネスの現場で必要になってきたのでしょうか?

山口周さんの著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』では、具体的に

・論理的・理性的 な 情報処理スキルの限界が露呈しつつある

・世界中の市場が「 自己実現的消費」へと向かいつつある

・システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している

山口周 『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

上記の3つの理由を著書の冒頭で挙げています。

今回KACHITSUKUでは、山口周さんの主張を基に、「美意識」がビジネスの現場で注目されるようになった背景を4つにまとめました。それでは一つずつ見ていきましょう。

論理的な意思決定による答えの均一化と差別化の困難さ

これまで、ビジネスマンにとって論理的思考や、フレームワークの活用は問題解決の上で重要なものとされてきました。

それこそ昔は、論理的な思考やビジネスのフレームワークと言ったものは一般には知られていなく、例えばコンサルティングファームなどが独自に使う専門的スキルのようなものでした。

 しかし、その論理的思考や、フレームワークが浸透すると、皆が同様のプロセスを辿り、似たような答えを出すようになってきます。

このように、みんなが同じ答えを出し、似たような戦略を作り出すと結局差別化は生まれなくなってしまいます。

そして、今となっては書店に行けば数多くの論理的思考やビジネスのフレームワークについてわかりやすく書かれている本があるのでスキルとしての価値は着実に落ちていますし、イノベーティブなものは生まれにくいです。

そのため、今後フレームワークを活用する時は自分達が達成したい目標についての話合いを前に進める切り口の一つくらいに考えて、手段の目的化が起こることのない程度に活用していきましょう。

VUCA時代における論理的判断の限界

VUCAについてはこちらの記事で詳しく書いていますが、

VUCA(ブーカ)とはVolatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityの頭文字をとって作られた単語で、それぞれの意味は以下の通りです。

・Volatility :不安定で変化が激しい

・Uncertainty :不確実性が高く先行きが見えない

・Complexity :様々な要素が複雑に絡み合っている

・Ambiguity :ものごとの因果関係があいまい

このように、先行きが見えずこれまでのような成功の型もない時代がVUCAの時代です。

  さて、 このようなVUCAの時代の中で、論理的かつ理性的に答えを出そうとすると「経営における意思決定の膠着と、その結果としてのビジネスの停滞」が起きます。  

要は、論理的かつ理性的をあまりに重視しすぎていると

「意思決定にはAについて検討しなくはいけないしBについて検討しなくはいけないしCについて検討しなくはいけないしDもEもFも・・・」なんてことになってしまうんです。

このように、VUCA時代に発生する複雑に絡まり合っている物事について検討をし尽くすと次に進めない現象に陥ってしまい、意思決定が停滞してしまいますので論理偏重には気をつけなくてはいけません。

(関連記事:「VUCA」とは?VUCA時代で成功する人材の7つの特徴

自己実現市場へのシフト

全世界的に人々の欲求は自己実現欲求にシフトしつつあります。

そうすると、人々の消費の対象も

機能的→情緒的→自己実現的欲求が達成されるようなものへと移っていくと考えられます。

ここで、蔦屋書店を例に上記の欲求の変移について見ていきましょう。

私たちが本屋さんに行く時の機能的、情緒的、自己実現的な欲求はそれぞれ、

機能的:自分の欲しい本が置いてあって試し読みができる。

ただ、現代ではこの機能的な部分を満たすだけでは人はきません。

競合がある中でどうして蔦屋書店を選ぶのかは情緒的、自己実現的なところが関わってきます。

情緒的:蔦屋書店は綺麗でオシャレでカッコ良く居心地がいい 

自己実現的:綺麗でオシャレな蔦屋書店で本読む、作業をしている自分が好きで高揚感を覚える

このように私たちは機能的以外にも、情緒的であったり、自己実現できるかによって消費の対象を決めているのです。

自分の中の「善・悪」の基準を持っていないと長期的な成功は望めない

DeNAのWELQはとても象徴的にこの現象を示しています。

WELQとは、DeNAの運営する医療系まとめサイト「WELQ」による不正確な記事や著作権を無視した転用が発覚し休止に追い込まれた事件です。

このように短期的な売り上げを意識して法整備や、ルールが明確でないグレーゾーンを攻め続けていくと後から痛い目を見ます。

せっかく作ったコンテンツもサイト自体が閉鎖になってしまえば無駄になりますし、ビジネスの上で大切な企業のブランドイメージを大幅に下げることになります。

また、インターネットの普及によってユーザーに寄り添えていないサービスは、悪い口コミとなって現れるのでそもそも価値のないコンテンツを提供するメディアというポジションになることでしょう。

このように、システムの急激な発展に対して、法の整備やルールが後から整い、あとから悪い事だったと判断されるケースは今後さらに増えていくことでしょう。

ただ、運営者側に美意識に基づく倫理観があれば発覚する前に軌道を修正することができます。

こういった、間違いを犯さないように「何が善で、何を悪とするのか」明確な基準を持って日々仕事に取り組んでいくことで長期的な成功をつかみとっていきましょう。



美意識を身につけるための方法

作品に触れる

あなたは普段アート、小説、詩、映画などの作品に触れていますか?

例えばアートを鑑賞することは観察眼を鍛えることにつながり美意識を鍛えることにとても有効です。

具体的な観察眼を鍛える方法としてはVTS(Visual Thinking Strategy)というものがあります。

作品を「見て、感じて、言葉にする」ワークショップで、

ファシリテーターの

「何が描かれていますか」

「絵の中で何が起きていて、これから何が起こるでしょう」

「どのような感覚が自分の中に生まれていますか」といった質問に答えていき、

参加者がそれぞれの見方や解釈の違いに気づく事で、「見えていなかったことが見える」ようになり観察眼を鍛えられます。

また、小説や映画などの作品に親しむ中で「自分の場合ならどうだろうか?」と自分自身を省みて深く考えることは自分の中の真善美を鍛える上でとても有効なので実践してはいかがでしょうか。

相手視点に立ったコミュニケーションを意識する

普段の会話の中で、相手に対する共感を意識してみてください。

他人の感情や、考えを理解しようと努める事、思いやりに近いですが「美意識」を鍛える事ができます。

例えば会話の中で相手のエピソードを聞いた時、

「相手がどのような感情になったのだろうか」

「その時に大変だったことは何だったのか」

などを他人の感情やその場の状況を想像して聞いてみてください。

このように日々を過ごしていると、アートを鑑賞するときのVTS(Visual Thinking Strategy)と同じように、他人の見方や解釈の違いに気づく事で、「見えていなかったことが見える」ようになってきます。

ぜひ、相手の視点にたったコミュニケーションを意識することで感情の機微に気づけるようになっていきましょう。

内省をして自分のなかの善悪の軸を明確にする

先ほど、美意識とは『物事の判断を、理性だけでは無く「快・不快」といった感性を用い、自分の中での明確な判断基準を持って意思決定を行う事』と説明し、「明確な判断基準」とは「自分なりの倫理観に基づいた行動指針」であるとお話しました。

「自分なりの倫理観に基づいた行動指針」を明確にするために有効なのが内省です。

内省とはこちらの記事にもありますが

自分自身の心のはたらきや状態をかえりみて、より深く自分を見つめ直す事です。

このような内省を通して、自分自身を深く見つめ直し、

自分は何が正しいと思うのか、何を間違えとするのか問いかけてください。

自分の中の「善・悪」の価値観が明確にするために内省を繰り返し行う事できっと自分の中の美意識も深く熟成されていきます。

内省の具体的な方法については下記の記事をご覧ください。

(関連記事:内省とは?具体的なやり方と内省を身につけることで変わる未来

おわりに

今回は、美意識がビジネスの現場で重要視されるようになった背景と具体的な鍛え方について書きましたがいかがでしたか?

先行きが見えず変化の激しい現代において、「美意識」を鍛えることは今後ますます重要になってきます。

また、より、詳しく「美意識」について知りたいと思ったかたは是非 山口周さんの著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』読んでみてください。

きっといい意味でものの考え方や価値観が変わりますよ。