やりがいを求めて入社したけどサービス残業や低い給料で心身ともに疲れた。
大学の同期と飲んでる時に「それやりがい搾取だよ」と言われ、そうなのかなとなった経験ってありませんか。
近年一部の界隈で賑わいを見せているやりがい搾取という言葉。
では、やりがい搾取とは何なのでしょうか?
また、やりがい搾取が起きるのは理由や、やりがい搾取に気づいた時にどのような対処法を取るべきなのかについて本記事では書きました。
今の自分や未来の自分に当てはめながら見てみてください。
目次
やりがい搾取とは何か?
やりがい搾取とは、雇用主が従業員に対してやりがいを盾にして働きに見合わない給料や長時間労働を正当化する行為のことを言います。
近年若年層の間で、給料も大切だけど自分の才能や能力、短い人生なんだから自分にしかできない仕事をしたいという欲求が現れてきています。
このように仕事にやりがいを求めること自体はとてもいいことで、今後も仕事にやりがいを求める流れはますます強まることが予想されます。
ただ、この若年層の労働意欲を「やりがいという大義名分を掲げれば安く働いてもらうことができる」と考え、戦力的にブラック企業を作っていく経営層がいる現状があります。
このようなやりがい搾取がまかり通る企業で働いていると「やりがいや成長を求めて自分でこの環境を選んだのだから長時間労働でも安月給でも頑張ろう!」とはじめは思えていても日を追うごとに心身は間違いなくすり減っていきます。そして、短期間でやめていく職場となってしまいます。
しかし、やりたいことで自ら進んでやっている時は、やりがいを感じるもので報酬は気にならないものです。そして、この場合はやりがい搾取には当てはまりません。つまり、ノンストレスでやりたいと思えることは人はタダもしくは低賃金でもやります。
一方で、人はやりたくないことは高い賃金をもらわないとやりたくないものです。または、高い賃金をもらってもやらない場合もあるでしょう。
ただ、実際の仕事はやりたくないことも押しつけられるので、やりたくないことも当然しなくてはいけません。このやりたくないことと支払われるべき報酬の関係性にやりがい搾取の問題が現れます。
それでは以下で、やりがい搾取がどのようなメカニズムで起きるのかについて話をしていきます。
やりがい搾取が発生するメカニズム
先ほど自発的にやりたいことをやっている時はやりがいを十分に感じられるので、賃金の低さや長時間の労働は気にならないといいました。
ここで、採用側の立場になって考えてみましょう。採用側は、限られた予算の中で自社が求める人物像にマッチする優秀な人材をどうしたら獲得できるかと日々奮闘しています。
そして、会社のいい部分のみを切り取って宣伝を行い、成長ややりがいといった成長意欲が高く優秀な人材に刺さる宣伝の手法をとります。
このように会社側が成長ややりがいを全面に押し出すことと成長意欲の高い人材がいることがやりがい搾取を生み出す下地となります。
ここで一つ言いたいことは、企業がやりがいを押し出すことは悪いことではありません。ただ、やりがいを与える代わりに賃金は低くしてもいいよねという考え方が問題なのです。
では、やりがい搾取が起きるメカニズムを雇用主と従業員がやりがいと報酬に求める割合に着目して紐といていきます。
パターンA やりがい:報酬=70:30
「やりがいがあり、成長できることで若いうちに経験を積んでどこでも通用する人材になりたい」と考える人からするとやりがいと報酬に対する割合はパターンAは魅力的に映るのではないでしょうか。
ただ、実際の仕事で特に若いうちはできることが多くないこともあり、やりがいを感じられる仕事の70%の内40%にやりたくないことが含まれるものです。
この時にやりがい搾取がおきます。やりがいを持てることを70%できると思って入ったのにふたを開けてみたら30%しかやりがいがあることがなく、報酬は変わらない。
この40%分が雇用主が従業員から搾取している部分となります。
通常、やりたくないことをお願いするのなら正当な報酬を払わなければいけないのに払っていないことがやりがい搾取を発生させているのです。
やりがい搾取を行っている可能性のある企業の特徴
ここでは、やりがい搾取を行う企業に見られる特徴ついて3つ紹介します。ぜひ、自分が働いている職場に当てはめながら見ていってみてください。
- 「googleみたいな企業を作る」「市場構造を根本から変えるサービスを作る」といった漠然とした目標を立てることで目先の目標よりもまだ見ぬ夢を追うことを重視するスタートアップ企業
- いつかは独立をしたいと考える若者に対して、「当社で経験を積めば独立してもやっていける」と促し、高いノルマと精神論を強要してくるブラック企業
- ベンチャーと言いながらやり方が日本的で非効率。承認のプロセスが多く、日系の大手企業とほとんど変わらないベンチャー企業
みなさんの職場で当てはまる特徴はありましたか?
全ての企業がやりがい搾取を行っているというわけではありませんが、現在の職場が上であげた特徴にいくつも当てはまっているなら「もしかしたらやりがい搾取をされているんじゃないか」と考えてみることをおすすめします。
やりがい搾取を受けやすい人の特徴
欲しいものが明確になっていない
やりがい搾取を受けやすい人は欲しいものが明確になっていない場合が多いです。
自分は何を求めているのかが明確な人は、確固たる判断基準があるのでやりがい搾取を受けていると違和感を感じます。
ただ、欲しいものが明確になっていないと成長ややりがいとった言葉が自分が欲しいもののように感じます。
成長ややりがいといったものはもちろん大切ですが、企業側が考えるやりがいと我々が求めるやりがいが同じというのは稀です。
またそもそも、やりがいとは人から与えられるものではなく、自分で見出すものです。
なので、自分は何をしている時に楽しく、やりがいを感じるのかを明確にしてから仕事を決めることをおすすめします。漠然とした成長を追うのはもうやめましょう。
やりがいと報酬がトレードオフだと思っている
やりがい搾取を受けやすい人はやりがいと報酬がトレードオフだと思っている人が多いです。
そもそも価値というのは、求める人の多さとそれをどれだけ求めているかで決まります。
つまり、需要があり社会から求められることでやりがいを感じられることが見つかれば、高い報酬をもらいながらやりがいも感じられることができます。
やりがいがあることは仕事の時間以外でも考えます。そして好きでやりたいと思えることは継続することができ、上達するスピードも早いので報酬はおのずと発生します。
なので、やりがいも報酬もどちらも追いたいという方は需要があることでやりがいを感じることを見つけることに力を注ぎましょう。
自分も相手も社会もよくできる三方よしな仕事はきっとありますよ。
新入社員や未経験の職種に転職したばかりの人
新入社員や未経験の職種に転職したばかりの人の中でも、憧れが強く夢や希望を持って入社をした人はやりがい搾取を受けやすいです。
頑張って自分を磨いて憧れだった仕事をできることは幸運なことですし、誰にでもできることではありません。
ただ、初めて社会人生活を経験する新入社員や他業種から転職してきたばかりだとできないことが山積みなものです。
そして、早く仕事ができるようになろうと思うものです。また、早く仕事ができるようになりたいと思うことは素晴らしいことです。
一方で、この頑張ろうとする意欲につけ込んで、どれだけ頑張っても達成できないようなノルマを設定して残業や仕事の持ち帰りを強要してくる上司がいます。
そして「はじめはみんなが通る道だから」「この業界はどこもこんなもんだよ」と言われるとこれが普通なのかとなっていきます。
ただ、このような職場で長くいると身体を壊したり精神に深い傷をおうことになります。そして、必死に会社のために頑張ったあなたに対して会社は何もしてくれません。
最優先にするべきなのは健康です。健康でなければやりたいこともできません。なので、やりがい搾取がまかり通るブラックな環境で働いているなら早く見切りをつけることをおすすめします。
今は、多忙を極めていて周りが見えにくくなっているかもしれませんがあなたが今よりも生き生きと働ける環境はきっとありますよ。