「初対面にもかかわらず、話が弾んだ勢いで誰にも話したことのないような悩みを吐露してしまった」
そんな経験はありませんか?
そんな私たちの悩みをまるごと受け止めてくれる聞き上手さんたち。
「自分もそうであったなら…!」と憧れた方も多いのではないでしょうか。
ただ、いざ聞き上手な人になろうとした時に何から始めればいいのかと考えると難しいものですよね。
そこで本記事では、いわゆる聞き上手な人にみられる共通の特徴や聞き上手な人になるための方法、明日から使えるテクニックについてご紹介いたします。
聞き上手な人の特徴9つ
そもそも、私たちは相手のどんな要素に話しやすさを感じているのでしょうか?
まずは聞き上手な人々の特徴を明らかにしていきましょう。
【聞き上手な人の特徴9つ】
① 相槌を打つタイミングと打ち方が絶妙
② 好奇心旺盛で興味の幅が広い
③ 適切な質問を投げかけてくれる
④ 話の広げ方が自然
⑤ 相手の言葉を注意深く聞いている
⑥ 肯定的な反応をすることが多い
⑦ 相手の話す内容をうまく整理しながら聞いている
⑧ 自分の経験を話しすぎない
⑨ 気遣いや思いやりにあふれている
自分のことを話すとき、共感しながら聞いてもらえていると分かるのは嬉しいものですよね。
そうやって私たちが「共感されている」と感じるのは多くの場合、ちょうどよいタイミングで相槌を打ってもらえたり、ほしかった質問をしてもらえたとき。
そこから流れるように話が進み、気がつけば数時間経っていたという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、長い間もやもやと悩んでいたことを聞き上手な人に話してみたら、みるみるうちに思考が整理されていきスッキリした気分になれた、という方もいるでしょう。
それは、そもそも思考を言葉にすることも整理できた一因だったのでしょうが、その他に、相手が都度都度話を整理してくれていた、というのもあるかもしれません。
聞き上手な人は、私たちが少しでも気持ちよく話せるよう些細なことにも常に気を配っているのですね。
聞き上手な人が好かれる理由
次に、以上のような気配りがなぜ私たちを気持ちよくさせるのか?
その理由をご説明していきます。
自分に興味を持ってくれていると感じられる
自分の意見を聞いてもらえているということは、自分の考え方を認めてもらえている、ひいては自分自身を認めてもらえている、というような感覚になります。
ボディータッチにしても、いわゆる相槌の「さしすせそ」にしても、ある意味相手を勘違いさせる能力なのです。
聞き上手な人はそういった意味で、相手を受け入れているという勘違いをさせるのが上手いということになりますので、これが好かれる要因の1つといえるでしょう。
一緒にいて居心地がいい
聞き上手な人は、どんな意見に対しても、まずは否定せずにいったん受け入れてくれます。
人は誰しも、愚痴にしても自分の意見にしても何かを述べるときには、最もらしい説得やご高説ではなくまずは肯定を求めるものです。
それができずに真っ向から相手の話を否定したり、アドバイスという体で自分の意見を押し付けたくなってしまうタイプの人は、聞き役というのは向いていないでしょう。
会うたびに新たな気づきがある
以上のように聞き上手な人と話をしていて楽しいと感じるのは単に受け入れられていると思えるからというだけではありません。
聞き上手な人は、相手がもやもやと悩んでいたことに対し、
話を整理し適切な質問を投げかけ、自分でも気がつかずにいた本心を引き出すのが上手なのです。
また、話していて上手くまとめられずにいても言葉に詰まっていても、じっくりと耳を傾けてくれているので、こちらも自然体で話をすることができますよね。
このように、聞き上手な人は会うたびに私たちに新しい気づきをもたらしてくれるので、
私たちは会話を楽しいと感じ、また新たな気づきを求めて再び会いたくなってしまうのです。
聞き上手な人になる方法と明日から使えるテクニック
ここまで聞き上手な人の特徴をご紹介してきましたが、
実際に彼ら彼女らのようになるためには、どうしたらいいのでしょうか?
次に、聞き上手になるための方法や、明日から実際に使えるテクニックについてご紹介いたします。
相槌のバリエーションを増やす
聞き上手な人はただ相手の話に「うんうん」といい続けているだけではありません。
同じ相槌ばかり使っていると、「この人本当に自分の話を聞いてくれているのかな」と不安に思わせてしまいます。
聞き上手な人というのは多くの場合、相槌のバリエーションが大変に豊富で、
話の内容に合った相槌を適切なタイミングでその都度使い分けることで、相手に気持ちよく話を進めさせることができるのです。
とはいえいきなり使い慣れない相槌を使おうとすると話のリズムを崩しかねないので、
まずは以下のような短い相槌を上手に使い分けてみてください。
喜びへの同意
- 「うん!」
- 「だよね!」
- 「よかったね!」
- 「分かるよ!」
- 「その通りだね!」
悲しみへの同意
- 「うん。」
- 「そうなんだね。」
- 「大変だったね。」
- 「悲しいよね。」
納得
- 「そうなんだ!」
- 「なるほど!」
- 「へえー!」
以上の相槌を見て、同じ「うん」でも、喜んでいるときか悲しいときかでずいぶん聞こえる印象が異なることがわかるでしょうか。
このように、相槌に抑揚をつけることも忘れずに。
相手がどんどん話してしまいたいのか、じっくりと話を聞いてほしいのかを見極めて上の相槌と抑揚を使い分けてみてください。
感情表現を入れた挨拶をする
「あなたと話すことは特別である」と思わせて、相手に気持ちよく会話に入ってもらうための方法です。
例えば、初めて会った人には「ぜひ一度お会いしたかったんです」「お会いできて嬉しいです!」と伝えてみてください。
それだけ?と思われるかもしれませんが、そうです。
それだけで、人は気持ちよくなれるものなのです。
もしあなたが相手にそう言われたら、と想像してみてください。
少しだけ優越感を刺激され、少し気分が良くなりませんでしたか?
人の気持ちというのは、私たちが思うよりずっとシンプルにできているのです。
オウム返しに追加の一言をいれる
オウム返しは有名ですね。
もしかしたらこの記事を読んでいる方も、すでにやっている方が多いかもしれません。
しかしここでは単なるオウム返しではなく、「+1」が大事、ということをお伝えしたいのです。
例えば、話し手が「この仕事は、上司からの圧力を感じてとてもつらかった」と話したとします。
これに対するオウム返しの例を2つ挙げてみましょう。
A「それはつらかったね」
B「ひどいなあ!それはつらかったね」
いかがでしょうか。
Aの単なるオウム返しよりも「+1」を加えたBの方が話し手の気持ちに寄り添っているように思いませんか?
このように、オウム返しの前後に自分が感じた気持ちを添えてみてください。
類似性の法則を意識した聞き方をする
「類似性の法則」とは、「人は自分と似ている人に対して無意識に安心感を感じる」というもの。
つまりは、相手に「自分と合っている」と感じてもらうことが安心感につながるということです。
とはいえ相手に容姿や性格を合わせることは難しいので、話すときは以下のことを意識するとよいでしょう。
- 話し方をあわせる:スピード、リズム、テンポなど
- 声をあわせる:高さ、抑揚、強弱、声色など
- 表情を合わせる:表情、目、口角など
- 頷きずきや相槌を合わせる
- 姿勢や動きを合わせる:姿勢、ジェスチャーなど
- 呼吸をあわせる:呼吸のリズム
- 雰囲気を合わせる:落ち着き、穏やかさなど
例えば、相手が楽しく話しているときは相槌のスピードを速め明るい声色にして話す勢いをつけてあげる、
また悲しい話をしているときは相槌はゆっくりと、少し声を小さくして相手がじっくりと自分と向き合えるようにしてあげるなど、
声色やリズムを合わせるだけで相手の話しやすさがガラリと変わります。
話を遮らずに落ち着いて最後まで聞く
話を聞いているうちに、つい相手の話を遮ってしまうことがあります。
「それってどういうこと?」といった質問をしたり、「それは違うと思うよ!」と否定したくなったり。
しかし、話を遮られた側からしてみれば、「まだ続きがあるのに!」とイライラしてしまうことでしょう。
さらに、話を遮ったことで話題がズレてしまったら、相手は話し足りず不完全燃焼に。
どれだけ話を遮りたくなっても、ぐっとこらえて最後まで聞いてあげてください。
相手が言葉を探しているときは出てくるまで待つ
話し手によって、また話題によっては相手が言葉に詰まってしまうこともあります。
そんなときはこちらから話を促さず、じっと相手の言葉を待ちましょう。
相手は頭のなかで必死に言葉を探っている最中ですから、それを邪魔してしまったら考えをまとめられません。
あなたは相手の言葉探しの手助けをしたいかもしれませんが、話し手は自分の言葉を大切にしたいものです。
先回りせずじっと待っていれば、相手はそれに気がつき安心してくれることでしょう。
相手の話を自分の話にすり替えない
「昨日彼氏と思いきり喧嘩しちゃった。もうダメかも…」
「そうなの!?私もだよ!昨日なんてさ…」
こんなことをしていませんか?
共感できる話題に気持ちをシンクロさせていることは非常に素敵ですが、話の主導権を持つのはあくまで話し手。
聞き手はサポート役にすぎないことを忘れずに。
話を盛り上げたい、共感している旨を伝えたいのかもしれませんが、話し手は「昨日の喧嘩について相談したいことがあったのにな…」と不完全燃焼になってしまいます。
- 「私も似たような経験あったなぁ。それは~」
- 「私だったらこうするかな」
- 「私の方がもっと~」
こんな言葉には要注意です。
実際の状況を想像しながら話を聞く
相手の話により深く共感するためには、実際起こっていた状況を想像するのが最善です。
相手の話から、そのときの場面を自分の頭のなかで映像化できるくらい鮮明に想像しようとすれば、
「私がこう言ったら相手が○○と言ってきたの」
―「それはどこで?」「そんなこと言うなんてひどいね」
というように、自然と相手への質問や共感の言葉が出てくることでしょう。
アドバイスは求められたときのみ行う
特に悩み相談や愚痴を話しているときに多いのが、「○○ということがあって困ったよ」と言われてすかさず「それなら○○すればいい」とアドバイスしてしまうこと。
しかし、相手が本当にアドバイスを求めているケースはほんの少数。
話を聞いて共感してほしいだけという場合がほとんどです。
相手に求められていないのに自分がしたいからとアドバイスをするのはただの独りよがりであり、相手を不快にさせてしまうこともあります。
ですのでアドバイスを直接求められなければ、「それはとても困るね、大変だったね」と共感だけにとどめましょう。
聞き上手が役立つ仕事
ここまで、聞き上手になる方法やテクニックについてご紹介してきました。
ですが、実際「聞き上手」ってどんな役に立つの?という方もいるかもしれません。
ですので、次に聞き上手な人が本領発揮できる仕事を紹介していきます。
営業
営業マンというと、自分から率先して話を進める人が多いというイメージがあるかもしれませんが、
一方的に話を聞かされるのは相手にとっては大変なストレスです。
その点、聞き上手の人であれば相手がいま何を必要としているのか、
またどんなものがほしいのかを自然と聞き出すことができるため、相手からの信頼を得やすく、また長期の契約にもつながりやすい傾向があります。
ですので、聞き上手な人は営業職で本領発揮できるでしょう。
コーチング
「コーチング」というのはみなさんご存じでしょうか。
コーチ?指導すること?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんがそうではなく、
対話によって相手の自己実現や目標達成を図る人材開発手法です。
つまりは、相手に一方的にあれをしろこれをしろと指示するのではなく、質問を通して相手の本来の目的や意思を見つけ、その方向に導くことを指します。
いま説明したように、コーチングでは「質問」がメインです。
そのため、相手の話を傾聴し、適切な相槌を打ち、適切なタイミングで質問を投げかける。そんな作業を繰り返します。
この作業、先ほど紹介した聞き上手な人になる方法となんだか似ていませんか?
そう、聞き上手な人が自然とやっている「相手の話に耳を傾け、整理し、相手も気づいていない本心に気づかせる」。これはコーチングそのものです。
そんな貴重な力を身につけているのですから、聞き上手な人はより多くの人を導いてあげられるコーチングが向いているでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
聞き上手な人を羨ましく思っていた方、なぜか話を弾ませられないなあと思っていた方は、自分の話し方の癖を見つけられたでしょうか。
聞き上手は才能ではありません。
話し方や簡単なテクニック次第で誰でも身につけられる「スキル」です。
しかし、何より忘れてはならないのが「相手への配慮」。
会話は自分一人では決して成り立ちません。どんな会話にも必ず相手がいるということを忘れずに。
それさえ気を付けていられれば、あなたを見る他者の目は大きく変わりますよ。
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