みなさんの周りに、いつも前向きで、そのオーラにつられて自然と人が集まっていくような方はいませんか?
「一緒に入社したのに、あっという間に上司にも認められ、頼られるポジションに就いていた」なんて人もいるでしょう。
では、周囲から一目置かれ多くの人が寄ってくる人と、思うように成果を出せず停滞してしまう人との違いは、どこからくるのでしょうか?
僕自身は、このような人それぞれの成長スピードや、人を惹きつける魅力的なオーラについて説明する上で、「”自己肯定感“が高いかどうか」が根本的な要因となっていると考えています。
そこで、本記事では「そもそも自己肯定感とは何か」ということや、「自己肯定感が低くなる要因」について以下で説明していきます。
目次
自己肯定感とは
自己肯定感とは、自分は他人と比べて劣っている、または優れているといったような他者目線の感覚を指すわけではありません。
自己肯定感が高い状態とは、「自分自身を心の底から受け入れ、自分はかけがえのない存在だと思えること」を意味します。
言い換えると、自分は他人と比べて「お金持ちではない」「容姿に自信がない」「学歴がない」などと、表面的な指標で己の価値を測るのではなく、「これが自分であり、ここに生きていること自体に価値がある」と自信を持てる状態ともいえるでしょう。
自己肯定感の高い人は楽観的に物事を捉える傾向にあり、多少不安なことが起きても、次にするべきことを前向きに考えることができます。
これは、たとえ何か大変な失敗や非難を浴びるような失態を犯したとしても、「それが原因で自分の価値が損なわれるわけではない」という余裕を持っているからです。
一方で、自己肯定感の低い人は、物事を必要以上にマイナスの方向に考えてしまう癖があります。
なので、何か新しいことを始める時にも「失敗したらどうしよう…」と考えたり、周囲からの批判を過剰に気にしてなかなか行動に移せません。
また、困ったことがあっても、「これを聞いたら相手にどう思われるか」といった周囲からの目を気にするため、なかなか人に頼むことができず、周囲の協力を得るにも時間を要します。
ここまで読んでいただいて、「あれ?自分って自己肯定感が低いんじゃないか?ダメな人間なのかも…」と思われた方もいるのではないでしょうか?
ただ、安心してください。あなたが少数派というわけでは全くありません。
国立青少年教育振興機構が平成27年度に行った、日本・米国・中国・韓国の高校生を対象とした調査結果によると、
「自分はだめな人間であると思うか」という質問に対して、「とてもそう思う」や「まあそう思う」と回答した日本人はなんと72.5%もいたのです。
ちなみにアメリカ、中国、韓国はそれぞれ45.1%、56.4%、35.2%となっていて、一番低い韓国とは約2倍の差が開いているという、何とも驚かされる結果となっています。
それでは次に、自己肯定感が低い人には具体的にどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
自己肯定感が低い人の特徴
自分を卑下することが多く、人からの賞賛や感謝を素直に受け取れない
自己肯定感の低い人は総じて自分に自信がなく、人から褒められる機会があってもついつい否定しがちになってしまいます。
これは、「自分は賞賛に値する人間ではない」という潜在意識ゆえに、他人からの褒め言葉に対して、反射的に居心地の悪さを感じてしまうからです。
また、賞賛を受けたとしても「これは嫌味なのではないか」や「なにか裏に意図があるのではないか」と、喜びよりも不安が先に立ってしまい、緊張から疲労感を感じやすいのも特徴の一つです。
これは一見、謙虚であることと同義にも感じられますが、実際には両者の意味は全く異なります。
真に謙虚な人とは、自分に自信があり自己肯定感も高い上で、自ら賞賛を求めない人のことを指します。
彼らは自分の価値を、誰よりも自分が一番わかっているために既に満たされており、わざわざ他人にひけらかす必要がないというだけのことなのです。
自分で自分を認めているからこそ、人からの賛辞を素直に嬉しいと思え、その喜びを糧に次々と挑戦を重ねることで、ポジティブなスパイラルを生み出すことができるのです。
反対に、他人からの評価を素直に喜べないと、後ろ向きな気持ちが拭えず次の挑戦に目を向ける気にならない、という負のスパイラルからなかなか抜け出せなくなってしまいます。
他人からどう見られているかばかりを気にする
みなさんの中に、会議や議論の場で「自分の発言が周囲にどう思われるか」ばかりを考えてしまい、いつも意見を言わず終いになってしまうという方はいませんか?
これには、「自分の意見に対して自信を持ち切れない」であったり、「自分の発言で議論の流れを止めてしまうのが怖い」といったような理由があるでしょう。
自分の意見に自信を持てないと、「この発言が間違っていたら、馬鹿だと思われるかもしれない」と不安に感じるものです。
しかし、環境や状況にもよるものの、そもそもあなたが思っている以上に周囲はあなたの言動を気にしていないことがほとんどです。
例え気にしていたとしても、大切なのは「自分なりの根拠を持てるほどに、自身の頭で考えていること」です。
もしあなたが、本気で考えた意見を発信すること自体が白い目で見られるような環境にいるのであれば、そもそもその環境はあなたにあっていないのかもしれません。
まずは自分の意見に対して「なぜそう思うのか」という根拠を常に持つよう意識しましょう。
自分の言葉で説明できるようになれば、自然と自信はついてくるものです。
他人からの見られ方を気にして萎縮するよりも、意見をぶつけ合うことで自分の考えが磨かれる過程を楽しむ時間の方が、あなたの人生においてよっぽど有意義な時間となりますよ。
ブランドや人脈といった「わかりやすい価値」に執着している
聞いてもいないのに人脈を自慢してきたり、ブランド品で全身を固めている人って、どこの世界にもいますよね。
彼らは一見、自信に満ちあふれ、誰よりも自分を高く評価できている人種にも見えます。
しかし、彼らの『自信』とは一体なにを指すのでしょうか。
自分がやってきたことを自信をもって自慢するのと、彼らのように自分の友達や持ち物といった“付帯品”を自慢して得る自信とでは、根本的に意味が異なります。
彼らは『優秀な人と知り合いである自分』、『ブランド品を持つことができる自分』に酔い、常に自分を“タグ付け”することで自身を満たしているのです。
つまり、自分ひとりでは自身の承認欲求を満たすことができないということです。
そのため、ブランド品や人脈に対して他者から『すごい』と言われることで承認欲求を満たし、自分の価値を認められた気になっているのです。
完璧主義
絵を書いていて色付けをしているときに、下書きの線からはみ出して塗ってしまうことって、誰にでもありますよね。
他人からするとそれほど気にはならないようなミスでも、完璧主義な人にとってはかなりのストレスとなり得ます。
ただ、自己肯定感が低い人は、なにか少しでも欠けると頭の中にある理想を達成できないのだと信じ込み、「完璧なものが作れないのなら・・・」と急激にモチベーションを失ってしまいます。
一見、完璧主義で自己肯定感の低い人は、しっかりしてそうで順調に生きているように見えます。
しかし、当の本人たちは周囲よりも理想が高いため、ちょっとした成果では満足できず、自分をなかなか認めてあげられていません。
そのため、失敗に対しても人一倍の恐怖心を抱きがちで、何かにつけて「不完全な成果で終わるくらいならやらない」「完璧にできない自分が嫌い」と、後ろ向きな思考に支配されてしまうのです。
ただ、人間である以上、初めから何もかも完璧にこなすことは不可能です。
むしろ失敗から学んだことに限って、その後の人生を豊かにしてくれるような知恵であったりするものです。
なので、完璧にこなすことよりも「今できるベストを尽くせているか」という観点を大切にしてみてはいかがでしょうか?
自己肯定感が低い原因
自己肯定感が低い原因は小中高の学校教育と幼少期の親の教育にあると考えられます。それぞれ、先天的なものではなく後天的なものですが共に価値観が形成される時期に受けるため影響は非常に大きいです。
では、以下で一つずつ説明していきます。
小中高の学校教育
自己肯定感が低くなる根本的な原因の一つに、平均的な人格を育成したがる日本の教育が挙げられます。
人は、幼稚園に通う2〜5歳頃の時期が一番クリエイティブであるといわれます。
しかし、多くの人は小学校から学年が上がっていくにつれ、無意識に枠に嵌められていく傾向にあります。
というのも日本の教育においては、決められた枠組みを外れることは価値が低いとみなされる傾向があるからです。
「出る杭は打たれる」の精神で、目立たず控えめにいる方が嫌な思いをせずに済む、という状況はきっと皆さんにも経験がありますよね。
みんなが勉強している時間に絵を描いている子がいたら、あまり良い顔はされないでしょう。ましてその子の成績が悪かったら、劣等生のレッテルを貼られること間違いなしです。
「決められた事を決められたやり方でこなすことが正義」な教育は、自分自身の頭で考える機会を奪います。
周りの人から外れないよう生きることに必死になるうち、自分の価値を見つけられないまま大人になった日本人は多いのではないでしょうか。
親から褒められたり、認められることが少なかった
ある子が、学校のテストで80点を取ったとします。
「なんで100点じゃないの?」と叱る親と、「80点も取れたの!すごいね〜」と褒める親。
その子の自己肯定感に大きな差が生まれることは、言うまでもないでしょう。
ただ、褒められ方も重要です。
点数だけをみて褒められるのではなく、「自分の頑張りを評価してもらえた」と感じられることは、子供の自己肯定感を大いに高めます。
頑張りが正当に評価されることは次の努力につながり、それによって成果が出れば更に自信がつきます。
成功体験は自己肯定感を高めるだけでなく、次の挑戦を後押ししてくれるものでもあります。
反対に、頑張りを認めてもらえないと、人はやる気を失くします。
幼い子供にとって、”絶対的な指標“である親から正当な評価をもらえないことは相当なストレスであり、挑戦することへの恐怖をもたらしかねません。
成果がどうあれ、まずは「頑張ったね」と褒めてもらうことが、成長過程において重要な要素となることは間違いありません。
過保護に育てられ、自分で選択する機会が少なかった
そもそも自信とは、挑戦したいものを自分で決めるところから始まり、試行錯誤を経て、乗り越えることでついていくものです。
「失敗してしまった」と自己嫌悪に陥ることや、「もっと出来るようになりたい」ともがく感情は、成長過程において大切な要素です。
しかし、幼少期に親が多くのものを用意し過ぎてしまうと自分で決める機会や、挑戦するきっかけが失われてしまいます。
自分の子が嫌な思いをしないよう、何もかも先回りして道を用意してあげたくなる親心はわからないでもありません。
ただ、親の決定をなんの疑問もなく享受し育った子どもからは、自分一人で物事を選択する力が欠落してしまいます。
そして、他者を挟まずには自分の決定に自信がもてない人間が出来上がってしまいます。
すると、なにをするにもまず周囲の評価が気になってしまい、結果的に自分で自分を認めることが難しくなってしまうのです。
自己肯定感が高まると人生はどうなる?
壁にぶつかっても前向きに挑戦していける
壁にぶつかると、心に大きなストレスがかかります。
このストレスを感じるという点は、自己肯定感の高い人でも低い人でも同じです。
ただ、困難な壁に直面した際に自己肯定感が低い人は、壁を超えられない理由ばかりを考える癖がついているため、終いにはやらない理由に変えてしまいます。
一方で、自己肯定感が高い人は「自分ならできる」「失敗してもそこから学べば良い」という意識が強いため、壁を打開する策を前向きに考えて挑戦をしていけます。
というのも、これまで紹介してきた通り、両者には根底にある「自信の質」に差があるからです。
こうして自己肯定感の高い人たちは、挑戦を繰り返し成功体験を積むことで、ますます自己肯定感を高めていきます。
そして、更なる高い目標を目指し、人生を通して成長し続けていくことができるのです。
ポジティブな波動を持つ人が集まってくる
自己肯定感の高い人は、年齢に関係なくどこか余裕があります。
そのため視野を広く持ち、細かい感情の動きや他者のいいところに目を向けることができるため、僻んだりすることなく本心から相手を褒めることができます。
人を素直に褒めるのが上手な人は、周囲の人を幸せな気持ちにできるため、多くの人に好かれます。
また、ポジティブな波動というのは同じくポジティブな波動を持っている人を引き寄せるものです。
似た者同士が集まることでポジティブな波が大きく広がっていき、いつしか彼らの周りには質の良い空間が出来上がるのです。
こういった好循環によって、充実感にあふれた瞬間を人生のなかで多く持つことができるようになるでしょう。
また、長年積み重ねることで自分自身を「かけがえのない存在」と心の底から思えるようになり、人生の幸福感を高めることにつながります。
自己肯定感を高めるためには
ここまでで、自己肯定感とは「自分は誰かと比べて劣っているとか、優れているとかといった他者目線の考え方」ではなく、「どんな自分であっても、自分自身を受け入れかけがえのない存在であると認めること」だと理解していただけたかと思います。
また、自己肯定感が低い人の特徴や低くなる原因、高めることでどう変わるかについて具体的に説明をしていく中で自分に当てはまっているところもいくつかあったのではないでしょうか?
そこで次に、自己肯定感を高めるためには具体的にどういった行動をしていけばいいのかについて書いていきたいと思います。
ただ、分量が多くなりすぎるので、行動編は後編としました。
後編:自己肯定感を高めるために知っておきたい8つの方法と2つの誤解
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