デザイン思考とは?ビジネスに役立つ3つの効果と5つのプロセス


 
あなたはデザイン思考、デザインシンキングという言葉を知っていますか?

「最近耳にするようになったなあ。だけどあんまり意味はよく分かってないや。」
「会議で耳にしてなんとなく分かっている感じを出してその場は乗り切ったけど、あれから結局・・・」

と様々かと思います。

また、デザインと聞くと装飾的な意味を連想したり、デザイナー職の人たちの世界の話でビジネス職である自分には関係の薄いことだと考える方も多いのではないでしょうか?

ただ、最近になってビジネスの場で耳にする機会の多くなった「デザイン思考」。

そこで、今回の記事ではデザイン思考の意味やデザイナーではないビジネス職でなぜデザイン思考が注目されているのか、ビジネスの場でのデザイン思考の活用方法について話をしていきます。



デザイン思考とは?

これまで、新たなサービスや商品を市場に出すためには綿密な市場調査がされてきました。これは、マスメディア的に市場のニーズを掴んで市場調査から得た仮説を検証していく手法で、ユーザーの選択肢が多様化していなかった時代には有効なものでした。

しかし、現代は様々な方法で情報を収集することが可能で、その分ユーザーのニーズも多様化しています。そうなると、適切な仮説を立てるのは容易なことではありません。

つまり、適切な課題を立てれるかによって行動の成果が著しく変わってくるのです。

このような背景から現在注目を集めているのがデザイン思考で、要点を絞って説明すると

「ユーザー視点で徹底的に考えて、細かい仮説の検証を何度も行う中で、本質的な課題を明確して解決をしていく」

手法がデザイン思考となります。

また従来型のマーケティング手法と違う点は、データも大切だけど実際に行動を起こす人にもっと焦点をあてようという人間中心的なアプローチをとっている点です。

ユーザーの生の声やその裏に潜む感情ベースのニーズを適切な質問をすることで掘り出し、様々な視点から本質的な課題を突き詰めて行く。そして、試作品を作って市場に出して反応をみながら本当に価値のあるものを作りあげていくからこそユーザーが真に欲しいと思えるサービスや商品が出来上がるのです。

このように、仮説や検証を何度も行うことからデザイン思考は「実験的思考法」と例えられることもあり、デザイン思考を用いるとユーザーが本当に求めているものを明確にする手助けになるので、心から欲しいと思えるサービスや商品を企画することができます。

また、その他にもいくつかデザイン思考を行うことによって得られる効果があるのでこれから紹介していきます。



デザイン思考による効果

これまでの延長線上にない新しいアイデアを生み出せる

デザイン思考を用いると、データを基にその延長線上でアイデアを出すのではなくより創造性に富んだアイデアを出すことができます。

デザイン思考は、「どんなサービスだったら使いたいと思うか」、「ここの機能が使いにくいからどうにかして欲しい」といった徹底的なユーザー目線でサービスを設計します。

そのため、これまでのようにデータを基に作っていては反映されにくかった本音の部分を拾い上げることができます。これにより、枠にとらわれないサービスの開発が可能になります。

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フラットな組織を作れる

デザイン思考は、ユーザーとのコミュニケーションを活発に行います。また、チームでサービスの開発を進めていく上であらゆる角度からの発言が価値を持つため、どんなアイデアであっても均等に扱われます。

そのため、メンバー間の役職の違いによる上下関係がアイデアを出す際の弊害になりづらく、フラットで風通しの良い組織を作ることができるのです。

努力でヒットが打てるようになる

デザイン思考を用いると、ヒットから運要素を減らすことができます。これまでアイデアを創出することは一部の才能がある人たちの特権のように扱われてきました。しかし、デザイン思考を用いるとユーザー視点で徹底的に考えることでイノベーティブなアイデアをこれまでよりも出しやすくなります。

そのため、これまで一部の人たちの中で暗黙知的に打っていたヒットを体系化できるようになるので、うまく導入できれば仕事のやりがいにも大きく影響しますね。

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デザイン思考の実践方法


 
それではいよいよデザイン思考の実践方法について説明していきます。ただ、デザイン思考を実行に移す前に何よりも大切なマインドについて触れておきます。

それは、徹底的なユーザー目線でユーザーへの思いやりをいかに持ったサービス開発ができているかということです。こちらは、本文中にも何度も出てきたことですが本質を見失わないために再度書きました。

デザイン思考は「ユーザーが本当に解決したい悩みは何なのか」「どのように解決するのか」「ユーザーが何に価値を感じてくれて自分たちが作ったサービスを選ぶのか」などを徹底的なユーザー目線で考えて一つ一つ愚直に進めていく中で真に刺さるサービスを作っていくことにあります。

また、ユーザーを理解するということにとどまるのでは不十分で、深く共感をすることもデザイン思考によるサービス開発を成功させる上で非常に重要になります。なので、ユーザーインタビューやその情報を基にサービスを開発をしている時には「表面的な部分ではなく、ユーザーの悩みに深く共感できているか」をチームで共有することを徹底しましょう。

では、マインドの部分が長くなりましたが以下で具体的なプロセスについて紹介していきます。

① 共感

フライングで話をしましたが、何よりも大切なのはターゲットを観察し、共感まで落とし込むことです。そして、この共感のフェーズで効果的なのがユーザーインタビューで、なぜターゲットとしているユーザーは自分たちがした質問に対してそのように答えたのかを徹底的なユーザー目線で考えましょう。

そのため、ユーザーがその答えに至るまでの背景やそこから見えてくる本質的な課題を明確にするための材料をできるだけ集めましょう。そうすることで、次の問題定義のフェーズでのディスカッションの質を高めていくことができます。

② 問題定義

先ほどの共感のフェーズで得られたユーザーの声から「どんなことに悩んでいるのか」「どういった経緯で悩みことになったのか」がある程度明確になります。

そこで、この問題定義のフェーズではあらゆる角度から質問を投げかけることでより根源的な悩みを見つけ出していきましょう。ただ、ここで注意したいのが問題を決めつけないことです。なぜなら、間違った問題に対して掘り下げていったとしても我々もユーザーにとってもいい結果を得られることがないからです。

なので、チームで掘り下げて行きながら時には一歩引いて「そもそも掘り下げようとしている課題ってこれでいいの?」といった質問を全体に投げかけましょう。

この一歩とどまることで、現状の整理することができるのと、解決すべきでない課題に割く時間を減らすことができます。

③ 解決策の創出

問題の定義をしたらいよいよ解決策の創出です。ここで大切なのは、とにかく多くのアイデアを出すことです。そして、はじめは実現可能性などは考えずにどんどん発散させていきましょう。

なぜならどんなアイデアであってもそこから何かしらの気づきはあるものですし、多様性はこれまでになかったイノベーティブな解決策が生まれることにもつながるからです。

そして、この解決策の創出のフェーズではユーザーの悩みを解決するための手法をできるだけ具体的にしていくことが重要です。ここで具体的にすることができると、後のプロトタイプ作りや検証のフェーズで行うことが明確になるので効果の測定がしやすくなります。

④ プロトタイプを作る

問題を解決できるアイデアが出たらそれを検証するためのプロトタイプを作りましょう。プロトタイプとは余計な機能を入れずに最低限必要な機能だけを搭載したもののことをいい、完成品がユーザーに刺さるものなのかを判断するための指針となるもののことをいいます。そしてこのプロトタイプを作るのには大きく二つ理由があります。

まず一つ目の理由は、人はアイデアを形にして実際に見て体感することで「欲しい!使ってみたい!」と思うからです。また、チームで話を進める時にも具体的なものがあったほうがより具体的なアイデアを生み出しやすくなります。

そして二つ目の理由は、低コストで完成品がユーザーに刺さるものなのかを判断することができるからです。50%を70%にする場合と70%を90%にする場合では後者のほうが圧倒的にコストも時間もかかります。そして、90%にするまでユーザーテストをしていないと、そもそもニーズのないものを作っていることになるので開発費が無駄になってしまいます。

なので、50%くらいの完成度のものを作ってメンバーに共有することで更にアイデアを産んでいき、積極的に取り入れていきましょう。そうすると、ユーザーの悩みを解決できるサービスがどんどんできてきますよ。

⑤ 検証

プロトタイプを作ってメンバーに共有したら今度は実際にユーザーに試していただくフェーズです。そして、使用した率直な感想からさらによくしていくには何が必要なのかを考えて、検証と改善を繰り返しましょう。

そして、この検証のフェーズは最初の共感のフェーズに通じるものがあります。なので、今回紹介した①から⑤のフェーズを何度も繰り返し行い、試行錯誤をしていく中でクオリティを高めていくプロセスがデザイン思考によるサービス開発となります。

まとめ

今回は、近年商品開発の現場で注目を集めているデザイン思考について書きました。

ユーザーに寄り添って徹底的に考え抜いたものには価値を見出してくれる人が必ずいます。

ユーザーの悩みをピンポイントに解決できるサービスやプロダクトを作ることを目指して地道に取り組んでみてはいかがでしょうか。