人生100年時代とは、100歳まで人生が続くのが当たり前となる時代のことで、リンダ・グラットン氏の著書「LIFE SHIFT ー100年時代の人生戦略」をきっかけとして日本でも広く知られるようになりました。
ただ、人生100年時代と言われても今を生きる我々にとっては老後やその先のことを考える余裕はなかなかないかと思います。
そこで今回は、今後聞く頻度も意識する回数も増えていく人生100年時代というテーマに対して、
- 人生100年時代とはそもそも何か
- 人生100年時代前と後のライフコースの違い
- 人生100年時代をうまく乗り越える人材とは?
- 人生100年時代をうまく乗り越える人材になるための方法
について書きました。ぜひ最後までご覧下さい。
目次
人生100年時代とは?
日本の少子高齢化は世界的にみても顕著で、現在の日本人の平均寿命は男性81.09歳(2017年)女性87.26歳(2017年)です。
また、2007年生まれの子供の半数は107歳まで生きるとする研究もあります。
このような人生100年時代が到来すると、定年後の人生はどんどん長くなっていき、
- 若年期:教育を受ける
- 大人:働く、子育てに専念する
- 老後:年金を基に老後を過ごす
という従来型の人生モデルは通用しなくなります。
この高齢化に対して政府は以下のような声明を出しています。
- 100年という長い期間をより充実したものにするためには、幼児教育から小・中・高等学校教育、大学教育、更には社会人の学び直しに至るまで、生涯にわたる学習が重要です。
- 人生100年時代に、高齢者から若者まで、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくることが重要な課題となっています。
(人生100年時代構想会議中間報告より引用)
このように、将来の自身の可能性を狭めないために様々な方向にアンテナを張って興味があることを学習し、主体的にキャリアを形成していく必要があるのです。
人生100年時代とは、国だけでは対処しきれない長寿化(平均寿命100歳前後)に対して、国民一人一人が責任をもって取り組んでいかなくてはいけない課題なのです。誰も責任をとってくれないので。
また、今までのような「夫は働いて妻は専業主婦となる」、「一度入った会社を転職しない」、「住宅ローンを組んで夢のマイホームのために毎月お金を払い続ける」といった価値観はこれからの時代では崩壊していくことでしょう。
どうすれば長期化する人生を生き抜けるか、納得のいく人生にすることができるのかを考えて一歩ずつ行動を起こしていきましょう。
人生100年時代のライフコースの変化
人生100年時代到来前の従来型のライフコース
「LIFE SHIFT」では、人が100年の期間健康に生活を営む時代が到来する際に、従来の3つの人生ステージ(教育を受ける/仕事をする/引退して余生を過ごす)のライフモデルは大きく変化するとしています。
従来の3つのライフステージでは、
- 25歳前後までのステージ 教育を受ける期間
- 25歳から60歳までのステージ 仕事をする期間
- 60歳以降のステージ 引退して余生を過ごす期間
と各々のライフステージが分けられていました。
このように年齢によって区切られたライフステージは、次のステージに行けば後戻りができない一方通行の道で、寿命が延び、変化の激しい時代においては上記のような考え方は通用しなくなってきました。
人生100年時代のライフコース
人生100年時代で新たに誕生した人生のステージは3つです。
- Explorer 自分の生き方に関して考える時期で、新しい人との出会い、旅、知識やスキルの再取得を通して自分の新しい可能性を見つけるステージ
- Independent Producer 組織に雇われず、独立した立場で生産的な活動に携わり、それらの活動を通じて自分らしい働き方を発見するステージ
- Portfolio Worker 複数の仕事やNPO、副業などの異なる活動を同時並行で行うステージ (週4仕事、週1NPO活動など)
このようにこれまでの教育・仕事・引退しての余生という一方通行の働き方とはまるで違うのが人生100年時代の働き方です。
変化が激しく、先行きの見えない現代では、若い教育の期間で学んだ知識やスキルといったものはすぐに陳腐化してしまいます。
そのため、常に学び続けなければ現状維持をして職を保ち続けることは難しくなっていますし、今後この流れはさらに加速していくことでしょう。
また、仕事は欧米ではすでにプロジェクト単位になっており、DeNAの創業者である南場氏も今後仕事はどんどんプロジェクト単位になっていくため、尖ったスキルを身につけて社外での市場価値を高めることが重要であると言っています。
そして、最後は仕事をポートフォリオ化するという考え方です。一つのことだけをやっていてはそもそも飽きがきますよね。
また、様々な経験をすることで思考に柔軟性が生まれ、一つのことだけしていては思いつかないようなアイデアが生まれるものです。
例えば、Yahooだと週4日働いて残りの時間は各人の自由に委ねられています。この時間にNPOやボランティア、副業をしており、ユニークな人材へとなる余地があります。
ここで、本業では営業をしている人が週末に何人かで商品を作って、その商品の認知や関心、行動を促すマーケティングを実践したとします。
すると、本業の営業職においてもどうやったらお客様の感情を動かせるのかと今までの現場感だけではなく、もう少しマクロなマーケット感覚を持って考えることができます。
また、自分で工夫しながら仕事を進めていくスタンスになっているので自主性が生まれ仕事に自分なりの意義を見い出すことができます。
このように通常、組織に属していて営業職のみをしていてはこのマーケターの視点での仕事の進め方は得られにくいところですが、副業という形であれば可能となります。
また、これらのExplorer、Independent Producer、Portfolio Workerの3つのステージは一方通行で、一回経験したら終わりではなく必要に応じて柔軟に行ったりきたりしながら歩んでいくというのも人生100年時代以前の生き方と比べて大きく違う点と言えます。
人生100年時代をうまく乗り越える人材とは?
マーケット力が高い人
人生100年時代において、社会から求められることと自分ができることのすり合わせがうまい人はうまく乗り越えていけると言えます。
今後、転職が今よりも当たり前になってくる世の中において社内ではなく社外での市場価値を高めることはますます重要になってきます。
ここで、社外での市場価値が高いというのはどの組織でも職業としてある人事、営業、商品企画、マーケティングなどの専門性を磨くことで自分のスキルに値札をつけられている状態を指します。
その中で特に私が思う市場価値の高い人はマーケット力が高い人で、今自分が扱っている商品はどの切り口だと欲しいと思っている人たちに届けることができるのか。今後作る商品をたまらなく欲しいと思ってくれる熱狂的ファンを生み出すにはどうすればいいのかと考え続けるようにしましょう。
このような考え方で日々を生きているといわゆる稼げる人へとなっていき、社内はもちろんですが社外での市場価値は大きく上がりますよ。
このマーケット力に関する詳しい内容は下記の記事に書きましたので詳しくはそちらをご覧ください。
(関連記事:市場価値の高い人は、マーケット力の高い人。)
目的意識を持って色々なことに手を出している人
次に、人生100年時代をうまく乗り越えられる人材に必要なことは目的意識を持って色々なことに手を出すことです。
よくなんでもいいのでとりあえず色々なところに足を運んで顔を出せと言われますが、私はこの考えには疑問が残ります。
もちろん何も行動しないよりは行動した方がいいのですが、その会に参加することで自分は何を得たいのかを明確になっていないと効率が悪くなってしまいます。
ぜひ、ご自身の好奇心と向き合って惹かれるものがある場合に参加をしてみてはいかがでしょうか。
欲しいものが明確になっている人
人生100年時代をうまく乗り越えていける人材の最後の特徴は、自分が求めるものが明確になっていることです。
まず、何が欲しいかが明確でなければ出口の見えない真っ暗な洞窟を手探りで探っていくようなもので、大きく消耗してしまい次第になんのために生きているのかが分からなくなってきます。
また、明確に何を求めているかが分かると人生の指針ができるので生きづらさを感じることもなくなってきますし、目標の達成に向けてのコミット量も大きくなってくるので、自分は何を求めているのかを一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
人生100年時代をうまく乗り越える人材になる方法
ここまで、人生100年時代とは何か?この先行きの見えない時代をうまく乗り越えれる人材の特徴について書いてきましたがいかがでしたでしょうか。
このように変化(Volatility)が激しく、不確実性(Uncertainty)が高く先行きが見えない、かつ複雑(Complexity)であいまい(Ambiguity)な世の中を4つのそれぞれの言葉の頭文字をとってVUCA時代と言い、まさに人生100年時代を生き抜いていく上で避けては通れません。
このVUCA時代において成功する人材のなり方については本記事では書ききれないため下記の記事に書きました。ぜひご覧ください。
(関連記事:「VUCA」とは?VUCA時代で成功する人材の7つの特徴となり方)